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関連するSDGsの目標
飢餓を終わらせ、食料安全保障および
栄養改善を実現し、持続可能な農業を促進する
19世紀の初め、イギリスの経済学者トーマス・マルサスは著書「人口論」において、長期的な視点で人口の増加が農業生産を上回る将来の食料不足を指摘していました。この指摘どおり、現在地球上で生産できる食料約60億トンでは、
80億人の人口を養うのが限度であり、今後の100億人に迫る地球人口を養うことはできないとも考えられています。人口の単純増加はもちろんのこと、この原因の一つとして 挙げられるのが、近年の食肉消費量の急激な増加です。食肉を生産するには多くの穀物が必要※となります。人類が 1,000㎉のエネルギーを摂取するためには300gの 穀物を食べれば足りるところ、穀物を牛に食べさせて牛肉に変えて1,000㎉を摂取しようとすると、3kgの穀物 (10倍!!)が必要になります。このため、需要増加の多くの食肉を確保するためには家畜の体重の何倍もの穀物を消費することを意味し、環境資源に大きな負担を与え食料不足を加速させることに繋がります。
※食肉1kgを生産するために必要な飼料穀物量(トウモロコ
シ換算)
牛肉:11kg 豚肉:6kg 鶏肉:4kg
一方で、昆虫の摂取食物変換効率ECI(Efficiency of Conversion of Ingested food)※は高く、鶏肉のそれに匹敵 するものも少なくないと言われています。弊社で取り扱う イエコオロギのECIは豚肉相当というデータもあり、今後、温度・湿度・エサの種類等の飼育条件や、性・発育ステージなどによるECI変動の研究を重ねることで、より環境に配慮した食料開発を可能とし、将来的な世界の栄養改善に繋げていきます。
※ 摂取食物変換率ECI表
イエコオロギ 12~21%
ニワトリ 38~40%
ブタ 17~20%
牛 約10%
関連するSDGsの目標
持続可能な消費と生産のパターンを確保する
世界には飢餓で苦しむ人がいるのに、まだ食べられる食料が世界で年13億トンも捨てられています。農林水産省によると日本では年間約600万トンの食品が捨てられており(食品ロス)、これは1人当たり毎日お茶碗1杯分の食料を捨てている計算になります。味や栄養価は市販の物と同様であるにもかかわらず、形や見た目が悪く小売店の規格から外れた農作物や、保存状態が悪い、市場に適したサイズ・種類でない魚などの廃棄が食品ロスの原因の一つになっています。
弊社ではこの食品ロス問題とコオロギが雑食性であることに着目し、今後、こうした未利用資源を活用して食用コオロギを繁殖・加工していきます。この取り組みによって食用コオロギを肉・魚介類に替わる新しい動物性たんぱく質資源として循環させ、弊社商品が、人にも環境にも優しい「持続可能なスーパーフード」になることを目指し、日々研鑽しています。
関連するSDGsの目標
気候変動およびその影響を軽減するための緊急対策を講じる
気象庁によると、1891年の統計開始以降、世界の年平均気温は様々な変動を繰り返しながら上昇しており、2020年は観測史上最大になりました。このまま気温が上昇し続けると※1、海面上昇や熱波、干ばつなどの自然災害リスクが高まり、地球に住む人間を含めた動植物の生態系に悪影響を与えます。地球温暖化の主な原因は、人間活動による温室効果ガスの増加です。前述「関連するSDGsの目標 2」の貧困をなくすために森林を伐採して農地にすれば貧困を解消できるかもしれませんが、二酸化炭素などの温室効果ガスを吸収する森林が減ってしまうことを忘れてはいけません。また、そうして拡大した農地も高まる食肉需要への対応により、地球上の全ての農地の2/3超が家畜関連の生産※2のために使用されてしまっています。家畜のエサとなる穀物の生産から、家畜の飼育、加工、製品の出荷に至るまでの全プロセスを考慮すれば、家畜の生産だけで人間が排出する温室効果ガスの15%を占めるというデータもあります。
一方で食用コオロギは密集した状態での飼育ができ、家畜ほどの土地を必要としません。加えて、前述「関連するSDGsの目標 12」のとおり未利用資源を活用した食用コオロギの繁殖であれば、これまで生産されてきた食肉に比べはるかに低い環境負荷※3で、より高品質なたんぱく質を生産することが可能と考えています。
※1 このまま何も対策をしなければ、2100年には平均
気温は、1950年に比べて4℃上昇、場所によって
は6℃~8℃上昇するところもあると言われていま
す。
※2 家畜の収容やエサとなる作物栽培用の土地を含めま
す。
※3 食用コオロギの繁殖には寒冷地では燃料を使用した温
度調節した環境が必要であり、それらを考慮した環境
負荷についてはデータが乏しい現状にあります。
今後、産業規模が拡大して、例えば工場の排熱を利用
した温度調整を導入するなどの取り組みが、環境面に
おける持続可能性のカギを握っていると考えていま
す。
参考文献
・三橋敦著「昆虫食文化辞典」八坂書房 2012年
・橋本直樹著「飽食と崩食の社会学」筑波書房 2020年
・秋山宏次郎監修「数学でわかる!こどもSDGs 地球がいまどんな状態かわかる本」(株)カンゼン 2021年
・ジーナ・ルイーズ・ハンター著 龍和子訳「昆虫食の歴史」 原書房 2022年
・福士謙介監修「地球の危機図鑑~滅亡させないために知っておきたい12のこと~」(株)学研プラス 2022年
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